「墓じまい」を考え始めたものの、その後のご遺骨の供養をどうすればよいか、お悩みではありませんか。特に最近よく聞く「樹木葬」は、自然に還れるイメージがあり、管理の負担も軽くなりそうで魅力的ですよね。
しかし、墓じまい後に樹木葬へ改葬する場合、どのような手続きが必要で、費用はいくらかかるのか、具体的な流れがわからず不安を感じている方も多いはずです。
「お寺との関係はどうなるの?」「役所の手続きは複雑?」「本当に永代供養してもらえるの?」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるかもしれません。
ご安心ください。この記事では、墓じまいから樹木葬への改葬を検討している方が抱える不安を解消し、スムーズに手続きを進めるための全ステップを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、複雑に思える手続きの全体像が明確になり、費用相場や後悔しない霊園選びのポイントまで理解できます。故人もご自身も安心できる、新しい供養の形を実現するための一歩を踏み出しましょう。
この記事でわかること
- 墓じまい後に樹木葬が選ばれる理由
- 墓じまいから樹木葬までの全5ステップ
- 複雑な「改葬許可証」の具体的な取得手順
- 墓じまいと樹木葬にかかる費用の内訳と相場
墓じまい後の供養に樹木葬が選ばれるメリット・デメリット

お墓の承継者問題や管理の負担から「墓じまい」を選択する方が増える中、その後の新しい供養先として「樹木葬」が大きな注目を集めています。なぜ、これほどまでに樹木葬が選ばれるのでしょうか。
主な理由は、現代のライフスタイルや価値観に樹木葬がマッチしている点にあります。ここでは、墓じまい後に樹木葬を選ぶメリットと、知っておくべきデメリットを解説します。
樹木葬のメリット:負担軽減と安心感
樹木葬が持つ最大の魅力は、お墓を管理する子孫への負担を大幅に軽減できる点です。一般的なお墓とは異なり、樹木葬の多くは霊園や寺院が永代にわたって供養・管理を行ってくれます。これにより、お墓掃除や草むしりといった将来的な維持管理の必要がなくなります。
また、宗教・宗派を問わずに受け入れている施設が多いことも大きなメリットです。無宗教の方や、特定のお寺(菩提寺)との関係に縛られたくない方にとって、開かれた選択肢となります。
さらに、シンボルツリーや花々に囲まれて眠るという「自然志向」のイメージも、多くの方に安心感を与えています。「最後は自然に還りたい」という故人やご遺族の願いを叶えられる、現代に即した供養の形と言えるでしょう。
樹木葬のデメリット:事前の理解が必要
多くのメリットがある一方で、樹木葬特有の注意点も存在します。最も重要なのは、一度合祀(ごうし)されると、後から特定のご遺骨だけを取り出すことができなくなるケースが多い点です。
樹木葬には、個別区画タイプと合祀タイプがあり、特に合祀タイプや一定期間後に合祀されるプランを選ぶ際は、将来的な分骨などの可能性がないか、親族間でよく話し合っておく必要があります。
また、「樹木葬」と一口に言っても、その形態は多様です。美しい庭園のような「公園型(ガーデン型)」から、広大な里山の自然を活かした「里山型」まで様々です。中には、想像していたよりも樹木が小さかったり、一般的なお墓とあまり変わらない雰囲気だったりする場所もあります。
さらに、「自然に還る」というイメージから墓石がないと思われがちですが、実際には小さなプレートや石碑を個別に設置するタイプも多くあります。イメージだけで決めず、必ず現地を見学し、ご自身の理想とする供養の形と一致するかを確認することが、後悔しないための鍵となります。
墓じまいから樹木葬への全手続き【5ステップ解説】
墓じまいをして別のお墓(今回は樹木葬)にご遺骨を移すことを「改葬(かいそう)」と呼びます。改葬には、関係者との合意形成から行政手続きまで、踏むべきステップが法律で定められています。
ここでは、墓じまいを決意してから樹木葬に納骨するまでの流れを、5つのステップに分けて具体的に解説します。
ステップ1:家族・親族間の合意形成
手続きを始める前に、最も重要となるのがご家族やご親族の合意を得ることです。お墓は、ご自身だけのものではなく、多くの親族にとって大切な「心の拠り所」である場合があります。
「管理が大変だから」という理由だけで一方的に墓じまいを進めてしまうと、深刻な親族間トラブルに発展しかねません。「なぜ墓じまいが必要なのか」「なぜ樹木葬を選んだのか」を丁寧に説明し、理解を得るプロセスが不可欠です。
この段階で、ご先祖様から受け継いできたお墓を閉じることへの心情的な側面に配慮し、感謝の気持ちを持って話し合う姿勢が大切です。全員が納得した上で次のステップに進むことが、円満な墓じまいと新しい供養の始まりにつながります。
ステップ2:現在の墓地管理者への相談と離檀
現在お墓がある寺院や霊園の管理者に、墓じまいをしたい意向を伝えます。特にお寺の場合は「離檀(りだん)」、つまり檀家をやめることになります。
この際、これまでお墓を守っていただいたことへの感謝を伝えることが重要です。ここで高圧的な態度を取ってしまうと、後の手続きがスムーズに進まなかったり、高額な「離檀料」を請求されたりするトラブルの原因になることがあります。離檀料は法的な義務ではありませんが、感謝の気持ち(お布施)として、これまでの法要一回分程度を包むのが一般的とされています。
また、この時に「墓石の撤去は指定業者がいるか」「撤去のルールはあるか」も必ず確認しておきましょう。管理者との関係を良好に保つことが、円滑な手続きの鍵となります。
ステップ3:新しい供養先(樹木葬霊園)の決定
次に行うのは、ご遺骨の新しい引越し先となる樹木葬霊園を探し、契約することです。樹木葬には「公園型」「里山型」など様々なタイプがあり、費用や管理方法、雰囲気も全く異なります。
複数の候補をリストアップし、必ず現地見学に行きましょう。資料だけでは分からない日当たりや水はけ、霊園全体の管理状況、アクセスのしやすさ(将来お参りする際のことも考慮)をご自身の目で確かめることが重要です。
契約する際には、プラン内容を詳細に確認します。特に「永代供養」の範囲、つまり「個別区画で安置される期間」と「合祀されるまでの年数」は必ず確認してください。
また、生前に支払う管理費の有無や、契約後の追加費用が発生しないかもチェックするべきポイントです。この契約後に、次のステップに必要な「受入証明書(永代使用許可証)」を発行してもらいます。
ステップ4:行政手続き(改葬許可証の取得)
墓じまい(改葬)を行うには、現在お墓がある市区町村の役所から「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。これは法律(墓地、埋葬等に関する法律)で定められた必須の手続きです。
この手続きが一番の山場ですが、流れを理解すれば難しくありません。必要な書類は以下の3つです。
- 改葬許可申請書:現在お墓がある市区町村の役所(戸籍課や環境衛生課など)の窓口でもらうか、ホームページからダウンロードします。
- 埋葬(収蔵)証明書:現在お墓がある墓地管理者に発行してもらいます。「このお墓に間違いなく故人のご遺骨が納められています」という証明です。(※自治体によっては、改葬許可申請書に管理者が署名・捺印する欄が設けられている場合もあります)
- 受入証明書(永代使用許可証):ステップ3で契約した、新しい樹木葬霊園に発行してもらいます。「このご遺骨を当霊園で受け入れます」という証明です。
これら3点(または2と3の情報を記載した1)を役所に提出し、不備がなければ「改葬許可証」が発行されます。ご遺骨1柱(ひとり分)につき1枚の申請書が必要な場合が多いため、複数名のご遺骨を改葬する場合は事前に役所へ確認しましょう。
ステップ5:ご遺骨の取り出しと墓石の撤去
行政手続きが完了し「改葬許可証」が手元に届いたら、いよいよご遺骨の取り出しと墓石の撤去に移ります。
まず、現在のお墓の前で「閉眼供養(へいがんくよう)」または「魂抜き」と呼ばれる法要を行います。これは、墓石に宿っているとされる故人の魂を抜き、単なる石に戻すための儀式です。現在の墓地管理者に依頼して行います。
法要が終わったら、石材店にご遺骨を取り出してもらい、墓石の解体・撤去・整地作業を依頼します。墓石は産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
寺院によっては石材店が指定されている場合があるため、ステップ2で確認した通りに進めましょう。取り出したご遺骨を受け取り、新しい樹木葬霊園へ納骨(埋葬)します。納骨の際は、新しい霊園の管理者に「改葬許可証」を提出する必要があります。
墓じまいと樹木葬の費用相場【2025年版】
墓じまいから樹木葬への改葬には、「①墓じまいにかかる費用」と「②樹木葬の契約にかかる費用」の2種類が発生します。総額は選ぶ樹木葬のタイプや地域によって大きく変動しますが、一般的な相場を理解しておくことが重要です。
墓じまいにかかる費用の内訳
墓じまいには、主に3つの費用が発生します。
- お寺関連の費用(離檀料・閉眼供養) :離檀料は、これまでお世話になった感謝を示すお布施で、必須ではありませんが慣習として3万円〜20万円程度が相場です。閉眼供養のお布施は3万円〜10万円程度が一般的です。
- 墓石の解体・撤去費用 :墓地の広さや立地(重機の入りやすさなど)によって変動しますが、1平方メートルあたり10万円〜15万円が相場です。総額では20万円〜50万円程度になるケースが多く見られます。
- 行政手続き費用 :改葬許可申請書の発行手数料は、数百円程度(自治体によっては無料)です。
これらを合計すると、墓じまいにかかる費用総額は30万円〜80万円程度がひとつの目安となります。
樹木葬(新しい供養先)の費用相場
樹木葬の費用は、納骨のタイプによって大きく異なります。
- 合祀(ごうし)タイプ:最初から他の方のご遺骨と一緒に埋葬されるタイプです。個別のスペースを持たないため、費用は最も安く、5万円〜30万円程度が相場です。
- 個別(集合)タイプ:シンボルツリーの周囲などに、個別の区画やプレートが設けられるタイプです。一定期間(13回忌、33回忌など)が過ぎると合祀されるのが一般的です。費用相場は20万円〜80万円程度です。
- 個別(単独)タイプ:家族単位で一本の樹木や区画を使用できるタイプです。最も費用が高くなる傾向があり、50万円〜150万円以上かかる場合もあります。
墓じまいの費用と樹木葬の費用を合わせると、総額で50万円〜150万円程度がボリュームゾーンとなります。新しいお墓を建てる(建墓)場合の費用相場(150万〜300万)と比較すると、樹木葬は初期費用と将来的な管理費用の両方を大幅に抑えられる選択肢と言えます。
樹木葬選びで後悔しないための3つの注意点
手続きや費用面でのメリットが大きい樹木葬ですが、契約後に「こんなはずではなかった」と後悔するケースもゼロではありません。最後に、樹木葬を選ぶ際に特に注意すべき3つのポイントを解説します。
1. 永代供養の「期間」と「合祀」の条件
「永代供養」という言葉は、「未来永劫、個別に供養してもらえる」という意味ではありません。多くの場合、「一定期間(13回忌、33回忌など)は個別に安置し、その後は合祀墓(共同のお墓)に移して永代にわたり供養します」という意味で使われます。
この「個別安置期間」が何年なのか、いつ合祀されるのかは、霊園やプランによって全く異なります。また、一度合祀されるとご遺骨は取り出せなくなるため、この条件をご家族全員が納得した上で契約することが非常に重要です。契約前に必ず詳細を確認しましょう。
2. 将来的な管理費(維持費)の有無
樹木葬は「管理費不要」を謳う施設が多いですが、中には注意が必要なケースもあります。例えば、契約時に「永代管理料」として一括で支払うプランもあれば、個別安置期間中は年会費(管理費)が別途発生するプランも存在します。
生前に契約する場合、ご自身が亡くなった後にご家族に管理費の負担が残らないか、契約内容をしっかり確認してください。一見安く見えても、毎年の管理費を加味すると総額が高くなる可能性もあるため、トータルコストで比較検討することが賢明です。
3. 現地の環境と将来の維持管理体制
樹木葬の魅力は自然豊かな環境ですが、自然であるがゆえのデメリットも考慮しなくてはなりません。特に里山型の場合、雑草が生い茂ったり、虫が多かったり、アクセスが悪かったりと、お参りに行くのが困難になる可能性があります。
また、樹木が枯れてしまったり、台風などで倒れてしまったりした際の対応も確認しておきましょう。霊園の管理体制がしっかりしているか、将来にわたって美しい環境が維持されそうか、ご自身の目で確かめることが大切です。お参りのしやすさも含め、長期的な視点で選びましょう。
墓じまいと樹木葬の手続きに関するFAQ
墓じまい後の樹木葬への手続きに関して、よく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 墓じまいに必要な「改葬許可証」はどこでもらえますか?
A1. 改葬許可証は、現在お墓がある場所の市区町村役場(役所)で発行されます。申請には、現在のお墓の管理者による「埋葬証明」と、新しい納骨先(樹木葬霊園)による「受入証明」が必要です。
Q2. 菩提寺(お寺)との離檀料トラブルが心配です。
A2. 離檀料は法的な支払い義務はありませんが、これまでお墓を守っていただいた感謝の気持ち(お布施)としてお渡しするのが一般的です。高額な請求を避けるためにも、一方的な「やめます」という通告ではなく、「遠方で管理が難しく、心苦しいのですが…」といった形で、丁寧な相談と感謝を伝える姿勢が重要です。
Q3. 樹木葬に納骨した後、お参りはどうすればいいですか?
A3. 樹木葬のタイプによって異なります。シンボルツリーやプレートに向かってお参りする形式が一般的です。ただし、火災防止の観点からお線香やろうそくの使用が制限されている場所もあります。お花を手向ける場所など、具体的なお参りの方法は契約時に確認しておきましょう。
Q4. 墓じまいから樹木葬への納骨まで、どれくらいの期間がかかりますか?
A4. 関係者との合意形成から始まり、霊園探し、行政手続き、墓石撤去まで含めると、一般的に3ヶ月から半年程度かかります。特に菩提寺との調整や、親族間の話し合いに時間がかかるケースがありますので、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
Q5. 樹木葬は宗教・宗派を問わず誰でも入れますか?
A5. 多くの樹木葬霊園(特に民営霊園)では、宗教・宗派を問わずに受け入れています。ただし、寺院が運営する樹木葬の場合、そのお寺の檀家になること(入檀)が条件となっている場合もあります。無宗教の方や特定の宗派に属したくない方は、契約前に条件を必ず確認してください。
墓じまい後 樹木葬の手続き【まとめ】
墓じまい後の新しい供養先として樹木葬を選ぶことは、承継者問題や管理の負担を解消する有効な選択肢です。しかし、実現のためには多くの手続きが必要となります。
- 墓じまい後の供養に樹木葬が選ばれる
- 主な理由は管理負担の軽減と永代供養の安心感
- デメリットは一度合祀すると遺骨を取り出せないこと
- 墓じまいから樹木葬への手続きは5ステップで進める
- ステップ1は親族間の合意形成
- ステップ2は現在の墓地管理者への相談と離檀
- ステップ3は新しい樹木葬霊園の決定と契約
- ステップ4は役所での改葬許可証の取得
- ステップ5は閉眼供養とご遺骨の取り出し
- 費用総額の目安は50万円から150万円程度
この記事で解説した手続きのステップと注意点を理解し、一つひとつ丁寧に進めていくことが大切です。故人を想う気持ちと、将来の安心を両立できる、ご自身に合った樹木葬を選びましょう。
また、樹木葬への移行に伴う墓じまいや、その他のお墓の悩みをご相談されたい方は、お問い合わせくださいませ。

